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ライフリンクの自殺実態白書は、こんなのでいいのか?

ライフリンクの自殺実態白書が、いろんなメディアで取り上げられています。

自殺を減らそうとする団体は多く出て欲しいと思います。しかしこの白書の「自殺は社会構造的な問題である」という彼らの主張(前提、先入観)に、何か意味があるでしょうか。

この白書に、私は、自殺を減らしたい、それに有効な手段をなんとしても見つけたいという意思を感じません。

(地域別の)アルコール消費量と自殺率の連関を指摘しておきながら、自殺時に、薬物あるいはアルコールの摂取はあったのかどうかの調査をやっていないのは、あまりに注意力が散漫です。

また、周囲の人達(遺族)の「自殺した者」に対する(不可避的な)バイアスの入った意見だけでなく、検死結果、死亡前のカルテなどを合わせて見ることが必要です。多くの場合、遺族の考えるストーリーは正しくないということは、こういう調査をやるものの常識として知っていて当然のはずですが・・・。



日本での自殺急増に関する研究は、今まで大きなものも2回行われているわけです。そのときには今回のライフリンクの調査以上の専門的分析を行ったにも関わらず、それでも結論が先送りになっています。

1998年を境に、年間自殺者が約1万人増えたわけです。もっと細かく言えば、1998年2〜3月からの急増です。ここに皆、頭を抱えました。でも、優先的に探るべき場所は見つかったわけです。

自殺を減らすためのNPOであれば、自殺者を減らすということが第一目標です。すると、優先課題は自殺の原因を広く探ることではありません。多様であろう原因のうち、どれをつつけば自殺が減るのか、それを掴むのです。

1998年2〜3月の急増を掘り下げれば、自殺者を減らせる大きなポイントに突き当たる可能性は最も高いわけです。多くの専門家たちがつくってきた道を無視して、このライフリンクは、何をやろうとしているのでしょうか。「自殺のアカデミズム」というようなことでしょうか。


上のライフリンクへのリンクテクストをクリックして、開いたページに書かれている文章は、かなり愕然とします。


自殺は、人の命に関わる
極めて「個人的な問題」である。
しかし同時に
自殺は「社会的な問題」であり、
 「社会構造的な問題」でもある。


こんなことは、調査や分析をしなくても、寝ていても、書けるわけです。恥ずかしさに押しつぶされなければ。

こういう結論で満足するNPOなら、活動をやめるべきです。何の役にも立ちませんから。こんな調査発表をのうのうと出してくるというのは、動機が不純である可能性も高いと想像してしまいます。正しい意図を持っているのなら、チェック機能が働くはずだからです。

「自殺を減らす」ということを真剣に考えた、他の人たちの活動に期待します。

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